ハイエースの減価償却の計算方法を解説!節税のために購入するのはあり!?
仕事のためにハイエースを使用する場合は個人事業主も含め、経費として計上できます。
しかし、はじめて経費計上する場合、計算方法が複雑で分からないといった方や、難しい単語が多くて分からないと困ってしまう方も少なくありません。
そこで今回は、減価償却とはどのようなものなのかや、ハイエースの減価償却の方法などについて解説します。
減価償却費のことでお困りの方はぜひ参考にしてください。
Contents
減価償却とは
減価償却とは、簡単にいうと「年々価値が下がる固定費」という意味です。
社用車としてハイエースを購入した場合、固定資産と見なされます。
そもそも固定資産とは、購入価格が10万円以上で1年以上使用し続けるものをいいます。
車は年数が経過するにつれて劣化していき、新車購入したときよりも価値が下がっていくでしょう。
この考えのもと、固定資産の下がっていく価値の分を差し引いた価格が「減価償却費」です。
ちなみに、10万円以上する仕事用のパソコンも固定資産の扱いになり、減価償却費として経費に計上可能となります。
減価償却費は、それぞれのアイテムや物に設定されている耐用年数と取得価格で算定できるでしょう。
毎年確定申告時に算定され、年々減額されていきます。
減価償却の計算に必要な耐用年数とは?
減価償却の計算に必要な耐用年数の概要と、どのように定められているのかを解説します。
車両の耐用年数とは
「パソコンの耐用年数は3年」と定められているように、車両も耐用年数が定められています。
耐用年数とは、購入してからどのくらいの期間その車を資産として使用できるかの期間です。
車の場合、国税庁が法定耐用年数を定めており、新車、中古車それぞれで期間が設定されています。
耐用年数は新車か中古車で変わる
車両の場合、耐用年数は車種や新車か中古車かで変わります。
新車の耐用年数
新車の場合、以下のように耐用年数が定められています。
【一般用】
車種 | 耐用年数 |
普通自動車 | 6年 |
軽自動車 | 4年 |
貨物自動車 | ダンプ式:4年
その他:5年 |
ハイエースの場合、貨物自動車としての扱いになります。
ダンプ式ではないため、その他の5年がハイエースの耐用年数です。
もし、タクシーなどの運送事業で使用する場合は以下のようになります。
【一般用】
車種 | 耐用年数 |
乗合自動車 | 5年 |
小型車
※貨物自動車で積載量2t以下 ※その他排気量が2L以下 |
3年 |
大型乗用車
※総排気量が3L以上 |
5年 |
中古車の耐用年数
中古車はすでに誰かが購入し使用しているものであるため、正確な耐用年数を出すのは困難です。
よって、中古車の場合は新規登録の時期から月数を確認して耐用年数を割り出します。
また、中古車の場合は30万円未満か以上かで計上方法が異なるでしょう。
たとえば、中古車のハイエースを24万円で購入すると30万円未満であるため「少額減価償却資産」として一括計上が可能です。
反対に、50万円で購入し30万円を超えている場合は、法定耐用年数を用いた計算を用いて減価償却費を算定します。
耐用年数の計算方法について
耐用年数の求め方は「中古車の耐用年数=(法定耐用年数ー経過年数)+(経過年数×0.2)」です。
1年未満の端数は切り捨てし、計算した結果が2年以内になる場合は2年が法定耐用年数とします。
・計算例:5年型落ちの普通車の場合
(6ー5)+(5×0.2)=1+1.0=2.0
上記の計算から5年落ちの普通車の耐用年数は2年となります。
経過年数が法定耐用年数を過ぎている場合
経過年数が法定耐用年数を過ぎている場合は、以下の計算方法を用いて耐用年数を求めます。
求め方は、「中古車の耐用年数=法定耐用年数×0.2」です。
・計算例:経過年数が8年の普通車の場合
6×0.2=1.2
上記の計算から、答えが2年以下のため耐用年数は2年となります。
減価償却の計算に必要な取得費用とは?
減価償却の計算は、耐用年数に加えて取得費用も必要です。
取得費用とは、今回でいうと車の購入額となります。
車両本体やオプションでつけた付属品、納車費用といった費用のトータルの金額が取得費用です。
ただし、取得価額に含まなくてよいもの、取得価額に含むべきものなど細かく項目が分かれているため注意が必要でしょう。
取得費用に含めない項目 | 取得費用に含める項目 |
・自動車環境性能割
・法定費用 |
・自動車本体価格
・オプション(付属品) ・納車費用 ・中古車の自動車税 ・中古車の自賠責保険料 |
経費として処理すべき項目 | 資産計上すべきもの |
・自動車税
・重量税 ・自賠責保険料 ・リサイクル資金管理料金 |
・リサイクル預託金 |
ハイエースを経費に上げる場合の計算方法
ハイエースを経費に上げる場合の計算方法は3つあります。
・定額法
・定率法
・リース期間定額法
一つずつ解説します。
定額法
定額法とは、名前のとおり耐用年数の期間内において毎回の申請時に一定の金額を計上する方法です。
この方法を用いて経費計上を行う場合の減価償却費は「社用車の取得価額×定額法の償却率」で求められます。
償却率は国税庁HPに記載されているため、それを元に計算してください。
なお、耐用年数の最終年は「残額-1円」で計算し、残りの分を全額償却する形となります。
定率法
定率法は、定額法に対して一定の償却率を掛け算で計算した金額を計上する方法です。
この方法を用いる場合の減価償却費は「社用車の取得価額(または未償却残高)×定率法の償却率」で求められます。
もし「償却保証額」を下回った場合「定率法の償却率」で計算する代わりに「改定償却率」を使って計算してください。
償却保証額は「資産の取得価額 × 耐用年数ごとに定められている保証率」で計算可能です。
リース期間定額法
リース期間定額法とは、社用車をリース契約している場合に用いる計上方法です。
カーリースを使用した車の減価償却費は「社用車のリース費用の総額×社用車を使用した月数÷社用車のリース期間の月数」で求められます。
ハイエースを減価償却する際の注意点
ハイエースを減価償却する際の注意点は3つです。
1.節税対策するなら納車日に気を付ける
2.下取りをすると所得税が発生する場合がある
3.資本的支出が再取得価額の50%を超える中古車は法定耐用年数が適用される
なぜ注意が必要なのか、詳しく解説します。
節税対策するなら納車日に気を付ける
ハイエースを減価償却し節税を図る場合、納車日に気をつけてください。
減価償却費は月毎に計上されるため、1年の終わり近く、たとえば11月に購入すると2か月しか節税できません。
1年丸ごと節税できるのは来年度からとなるため、急ぎでなければ購入を待つのも良いでしょう。
下取りをすると所得税が発生する場合がある
下取りをすると所得税が発生する場合があることにも注意が必要です。
個人事業主の場合、車を下取りして手に入れた売却金を譲渡所得として申告しなければなりません。
売却益が50万円以下であれば課税対象とはなりませんが、50万円を超える場合は所得税がかかります。
資本的支出が再取得価額の50%を超える中古車は法定耐用年数が適用される
資本的支出とは、固定資産の修理や改良などで現在よりも良い状態にした際に支出されたお金のことです。
たとえば、ハイエースのエンジンの載せ替えを行った場合が該当します。
もし、この資本的支出が中古資産の再取得価額の50%を超える場合は、中古車であっても法定耐用年数が適用されます。
通常であれば、計算を行い答えが2年以内になれば、耐用年数は2年の扱いです。
しかし、エンジンの載せ替えで500万円かかったとして、中古車の取得金額が240万円だった場合、エンジンの載せ替え費用が50%を超えているため法定年数は6年となるでしょう。
しかし、再取得金額の50%以下の場合は、以下の計算で耐用年数を求めることになります。
(中古資産の価額+資本的支出の額)÷(中古資産の価額/簡便法の耐用年数+資本的支出の額/法定耐用年数)
ちなみに、再取得金額とは、中古資産と同じ新品の車を取得する場合の取得金額のことです。
節税対策のためにわざわざハイエースを買うのはあり?
結論からお伝えすると、ハイエースはリセールが良いため、あまり節税対策にはなりません。
たとえば、500万円相当の減価償却費を計上し、全額償却したあと400万円で売却できた場合、50万円を超える売却益が発生し所得税がかかるため節税できているとは言い難いです。
まとめ
ハイエースの減価償却費の求め方は理解できたでしょうか。
慣れるまでは大変かもしれませんが、一度計算できるとコツをつかめます。
また、節税対策のためにわざわざハイエースを購入するのは、人気車であるためおすすめできません。
所得税対策のために車を購入したいのであれば、リセールがそれほど良くない車を購入した方が良いでしょう。