ハイエースのエンジンはどっちが良いの?ガソリンVSディーゼル
商用車としてだけでなく、ファミリーカーとしても活躍するハイエースは、国内だけでなく海外からも高い人気があります。
グレードやモデルによってさまざまなボディ形状があり、オーナーの用途に適した最適なグレードを選ぶことができます。
また、パワートレインであるエンジンは「ガソリン」と「ディーゼル」の2種類がラインナップされています。
しかしこのエンジンタイプは、どのような基準で選べば良いのでしょうか。
ボディ形状やサイズに関しては実際に使い勝手の良さを確認すれば良いものの、エンジンタイプに関しての選択基準はあるのでしょうか。
そこで本記事では、ハイエースに採用されている各エンジンの特徴やメリット・デメリット、各エンジンを決める際のポイントをご紹介していきます。
Contents
ハイエースに搭載されているエンジンは2タイプ?
ハイエースに搭載されているエンジンは、以下の3種類が存在します。
・2Lガソリン
・2.7Lガソリン
・2.8Lディーゼル
ガソリンエンジンに関しては排気量が異なるものが用意されていますが、エンジンタイプで分けると「ガソリン」と「ディーゼル」の2タイプになります。
まずはそれぞれのエンジンの特徴を見ていきましょう。
ガソリンエンジン
ガソリンエンジンは2Lと2.7Lの2種類があります。
2.7Lは商用車のハイエースバンシリーズだけでなく、乗用車としても活用できるハイエースワゴンにも採用されているスタンダードモデルです。
また、2Lは装備が少なく軽量のハイエースバンDXのみ採用されています。
2Lガソリンエンジンの基本情報
形式 | 1TR-FE |
最高出力 | 100kW(136PS)/5,200r.p.m. |
最大トルク | 182N・m(18.6kgf・m)/4,000r.p.m. |
燃費 | 8.8km/L〜9.4km/L(WLTCモード) 10.5km/L〜10.9km/L(JC08モード) |
使用燃料 | ガソリン |
車両価格 | 239万2100円〜 |
2.7Lガソリンエンジンの基本情報
形式 | 2TR-FE |
最高出力 | 118kW(160PS)/5,200r.p.m. |
最大トルク | 243N・m(24.8kgf・m)/4,000r.p.m. |
燃費 | 8.1km/L〜8.8km/L(WLTCモード) 9.0km/L〜9.8km/L(JC08モード) |
使用燃料 | ガソリン |
車両価格 | 290万3600円〜 |
ディーゼルエンジン
走り始めから高トルクがあるディーゼルエンジンは、主に商用目的のハイエースバンに採用されています。
また、一部のハイエースワゴンにも採用されているため、ハイエースをマイカーとして利用する方も扱いやすいエンジンとなっています。
2.8Lディーゼルエンジンの基本情報
形式 | 1GD-FTV |
最高出力 | 111kW(151PS)/3,600r.p.m. |
最大トルク | 300N・m(30.6kgf・m)/1,000~3,400r.p.m. |
燃費 | 11.0km/L〜12.5km/L(WLTCモード) 12.1km/L〜14.0km/L(JC08モード) |
使用燃料 | 軽油 |
車両価格 | 322万7200円〜 |
ハイエース「ガソリン」のメリット・デメリット
ここでは、それぞれのエンジンのメリット・デメリットをご紹介していきます。
まずはガソリンエンジンを見ていきましょう。
メリット
車両価格がディーゼル車よりも安い
圧縮比が高いディーゼルエンジンは強固な設計が必要で、専用の排気ガス浄化装置なども搭載しなければいけませんので、どうしても価格が高くなります。
具体的に排気量同クラスの新車販売価格を比べてみると、
・2.7Lガソリンエンジン搭載車の新車価格・・・290万3600円〜
・2.8Lディーゼルエンジン搭載車の新車価格・・・322万7200円〜
このように、約30万円以上ガソリン車の方が安くなります。
※最安値で比較
静粛性が高い
ガソリンエンジンはディーゼルエンジンと比べて振動が少ないため、静粛性が高くなります。
走行中はもちろんですが、アイドリング時の静粛性も非常に高いため、アウトドアや車中泊などを頻繁に行う方は、ガソリン車の方が快適に過ごせるでしょう。
デメリット
燃料が高い
ガソリン車に使用するレギュラーガソリンは、軽油よりもリッターあたり約20円ほど高くなります。
・レギュラー・・・168.1円/L
・軽油・・・148.1円/L
※令和5年5月22日時点 経済産業省「給油所小売価格調査」参照
ハイエースの燃料タンクは70Lですので、仮に空タンクから満タン給油をすると、1400円ほど高くなります。
低速回転での走り始めは苦手
ガソリンエンジンは回転数を上げるほどトルクも馬力も上がる特徴を持ちます。
反対にディーゼルエンジンは、回転の頭打ちは早いものの、低回転でも馬力やトルクがあります。
そのため、ディーゼルエンジンと比較するとガソリンエンジンは低回転での走り始めは苦手です。
ハイエース「ディーゼル」のメリット・デメリット
次に、ディーゼルエンジンを搭載するハイエースのメリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット
燃費が良い
ディーゼルエンジンは低回転でも高トルクを発揮するため、走行中は必要以上にエンジンを回す必要がありません。
同クラスの排気量の場合、ガソリンエンジンよりもディーゼルエンジンの方が2〜3割ほど燃費が優れています。
燃料が安い
ディーゼルエンジンに使用する軽油はレギュラーガソリンよりも約20円ほど安くなっています。
年間走行距離で計算すると数万円単位の差となることもあるため、ハイエースを頻繁に利用する方は、ディーゼル車を選ぶと燃料代を節約することができます。
パワフルな走行が可能
低トルクのディーゼルエンジンは、アクセルの踏み初めからパワフルな加速が可能です。
荷物をたくさん積んでいたり、悪路や坂道での走行でも問題なく走行できるのも大きなメリットです。
耐久性が高い
高圧縮比で自然着火させる構造を持つディーゼルエンジンは強固に設計されているため、耐久力が非常に高くなっています。
一般的に車の寿命は10万キロとも言われていますが、ハイエースの場合は数十万キロ、中には海外で100万キロ以上走行している個体も存在します。
デメリット
車両価格がガソリン車より高い
ディーゼル車はガソリン車よりも新車価格は高く設定されています。
また、中古車市場でもディーゼル車の需要が高いため、ガソリン車よりも価格が高めの傾向があります。
メンテナンス費用が掛かる
ハイエースのディーゼルエンジンはターボも搭載されているため、オイルの交換頻度は早めと言われています。
具体的には、6か月もしくは走行距離5000キロに一度の交換が推奨されています。
また、4型後期モデルから排気ガスを浄化するために5000キロに一度約5リットルほど尿素SCRシステム用補給水の「AdBlue」を補充する必要があります。
カラカラ音がする
ディーゼルエンジンは燃焼圧が高いため、人によってはノッキングのようなカラカラ音が気になるかもしれません。
もちろん故障ではありませんが、人によってはディーゼルエンジン特有のこの音が気になるために敬遠されることもあります。
ディーゼルエンジン特有のトラブルがある
ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンでは起こり得ない特有のトラブルも起こります。
たとえば短時間の走行が続くとディーゼルエンジンの排気ガス浄化装置である「DPR」が十分に温まり切らず、粒子状物質がフィルターに詰まるトラブルが発生します。
これを放っておくと、エンジンの吹け上がらないトラブルに繋がります。
新品のDPRの価格は25万円以上と高額で、さらに修理代を含めると30〜40万円ほどとなるため、大きな出費になります。
・定期的に長距離走行を行う
・アッシュフリーの専用オイルを使う
・添加剤を定期的に使う
このような対策を行い、事前に故障を防ぐ必要があります。
ガソリン車がおすすめの方
前項でご紹介したメリット・デメリットの特徴を踏まえて、各エンジンがどのような方におすすめなのかを、あらためてご紹介していきます。
まずはガソリン車がおすすめの方は、以下の通りとなります。
・安価で購入したい方
・ファミリーカーとして使用したい方
安価で購入したい方
ディーゼルよりも新車価格が安価であるため、少しでも購入時の価格を抑えたいと考えている方は、ガソリン車を選ぶと良いでしょう。
とにかく購入費用を抑えたいという方は排気量2.0Lのエンジンが搭載されているモデルを選ぶと、より費用を抑えることができます。
ファミリーカーとして使用したい方
静粛性はガソリン車の方に分がありますので、ファミリーカーとして使用したい方にもガソリン車がおすすめです。
また、ハイエースワゴンであれば内装も充実しているため、ファミリーカーとしても十分に活躍できるでしょう。
ディーゼル車がおすすめの方
ディーゼル車がおすすめの人は、以下の通りとなります。
・長距離での移動が多い方
・重量物を積載することが多い方
長距離移動が多い方
ディーゼル車はガソリン車より燃費が優れているため、旅行や出張などで長距離移動を頻繁に行う方におすすめです。
また、低速からの加速力も優れているため、ストップ&ゴーが多い市街地での長時間運転もディーゼルエンジンの方が楽に行えます。
重量物を積載することが多い方
積載量が多く、重量物を運搬する機会が多い方にも、発進から高トルクを発揮するディーゼル車が向いています。
力強い走りが好みの方
アウトドアなどで山道を走る機会が多い方や、そもそもSUVのように力強い走りが好みの方にもディーゼル車はおすすめです。
4WD車もラインナップされていますので、悪路や雪道を走る方であれば、加えて4WD車を選んでも良いかもしれません。
まとめ
ガソリン車とディーゼル車それぞれのメリット・デメリットをご紹介しました。
ハイエースをファミリーカーのように乗りたい方には静粛性が高いガソリン車が向いていますし、反対に荷物をたくさん乗せて移動する方にはディーゼル車をおすすめします。
今回ご紹介した内容を参考にし、ぜひご自身のライフスタイルに合ったエンジンタイプを見つけてみてください。