ハイエースの床張りをしても車検は通る?注意点も解説!
近年では、ハイエースをキャンピングカー仕様にする方が増えています。
ハイエースのキャンピングカー仕様の一つに床張りがありますが、近年では床張りキットも販売されており、キャンピングカー仕様としてだけでなく流通しています。
しかし、床張りキットが車検に通るのか心配になる方もいるでしょう。
結論から申しあげますと、ハイエースの床張りは、注意点さえ守れば車検に通ります。
本記事では、ハイエースの床張りをする際に気を付けるべきポイントや車検に通すためにするべきことなどを解説します。
ハイエースの床張りを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
ハイエースを床張りするメリット3選
ハイエースの床張りが流通していますが、なぜ床張りをするのか気になる方もいるでしょう。
ここでは、ハイエースを床張りするメリットを3つご紹介します。
荷物が積みやすくなる
荷物が積みやすくなる点が、ハイエースの床張りをする一つ目のメリットとして挙げられるでしょう。
ハイエースの荷室を床張りすることで凹凸がなくなり、荷物が積みやすくなります。
さらに、床にある程度の高さがあったり、適度な固さがあったりする場合には、重量物は運ぶ際の安定感が増し、地面からの振動も軽減できるため、軽量物は荷崩れを起こしにくくなるでしょう。
掃除がしやすくなる
掃除をしやすくなることが、ハイエースを床張りするメリットの二つ目として挙げられるでしょう。
通常、床張りをしていない状態の荷室は凹凸があり、くぼみにゴミやホコリが溜まりやすくなっています。
液体がこぼれてしまった際には、染み込んでしまうため拭き上げも大変でしょう。
しかし、平らな床張りをすることで凹凸が妨げになることがなくなり、ゴミやホコリなどを除去する際の掃除にかかる負担を減らすことが可能です。
また、染み込まない素材の床張りをすれば、液体がこぼれたとしても雑巾などで簡単に吹くことができます。
寝床が作りやすくなる
ハイエースの床張りの3つ目のメリットは、寝床が作りやすくなることです。
平らに床張りをすれば、車中泊用ベッドを簡単に付けられます。
また、そのほかのキャンピングに必要な家具全般を取り付けるのにも役立つでしょう。
ハイエースの床張りを車検に通すには?
ハイエースの床張りにはメリットがあるものの、注意点を守らないと車検に通らない可能性があります。
ここでは、ハイエースに床張りをした場合に、スムーズに車検に通すためにはどうするべきか解説します。
構造等変更申請を行う
構造等変更申請を行うと、床張りを施したハイエースでも車検にスムーズに通ることができます。
改造車を検査し直して改めて安全に乗ることができるか確認する手続きのことを、構造等変更申請といいます。
新規車検からやり直すことになるため、これまでの車検内容も一旦リセットされます。
手続きには実車検査と書類審査の2段階があり、両方合わせると10日程度の日数が検査に必要となるでしょう。
両方の検査をクリアすると、車検証の形式蘭に「改」と記載され、公道を走れるようになりますが、必ずしも構造等変更申請にクリアできるとは限りません。
せっかくDIYしたとしてもクリアできなければ公道を走れなくなるため、保安基準を意識して床張りすることが大切です。
ただし、取り外し可能な床張りをした場合には、構造等変更申請の必要はありません。
たとえば、販売されている床張りキットはすぐに取り外しができるため、構造等変更申請は不要です。
簡単に着脱できない床張りの場合には、構造等変更申請を行いましょう。
ナンバーを変更する
床張りを施したい車が5ナンバーの普通乗用車の場合には、荷室をそのまま床張りするだけであれば、ナンバーの変更は必要ありません。
しかし、後部座席を取り外してスペースを広く確保して床張りを施す場合には、4ナンバーの貨物自動車に変更する必要があります。
難易度はあがりますが、寝台や調理設備、上下水設備を設置するなどの要件を満たせば、8ナンバーのキャンピングカーに変更することも可能です。
取り外しできるようにする
荷室へ乗せるだけの床張りキットを使用すると、車検時の心配がいりません。
荷室へ乗せるだけであれば、簡単に取り外しができ、荷物扱いになるのです。
車検の際には車から降ろしておけるため、構造等変更申請の必要もなく、気軽にできます。
ただし、普段は後部座席を取り外しての床張りをしているにもかかわらず、車検の際だけ元に戻す行為は行わないようにしてください。
常に車検にとおる状態でなければ、公道を走らせることができないため注意しましょう。
専門家のアドバイスを仰ぐ
車のDIYは、技術的な問題はもちろんのこと法律H状の問題も関わってきます。
条文を読んでも、素人には分かりにくい部分も多い傾向にあります。
また、インターネットで調べた情報が法改正前のものだったということもあり、気を付けていても車検に引っかかってしまうことがあるのです。
そのため、少しでも不安に感じる方は専門家にアドバイスを仰ぐのをおすすめします。
たとえば、懇意にしているディーラーやカー用品店、陸運(支)局に相談すると良いでしょう。
ユーザー車検
床張りなどのDIYを施した車は、整備工場やディーラーでは車検を受け付けてくれないことがあります。
特にディーラーの場合は非正規品を使った車や改造車を受け入れてくれない傾向にあるでしょう。
断られる可能性を考えて、最初からユーザー車検を利用するのも一つの手段です。
ユーザー車検なら断られるリスクを抑えるだけではなく、車検費用も安く済ませられるでしょう。
ハイエースの床張りをする際の気を付けるポイント
車に床張りを施すことは注意点さえ守っていれば車検に通すことは可能ですが、床張りに使用する素材や重さなど細かいルールが定められているため、気をつけなければなりません。
ここでは、ハイエースの床張りをする際の気を付けるポイントを解説します。
素材
ハイエースの床張りをする際に気を付けるべきポイントの一つに、素材があります。
保安基準では、車の内装に使用する素材は、車両火災を防ぐなどの観点から難熱性の素材を使用しなければならないと定められています。
たとえば、難熱性の素材を使用して床張りされていても、その上にフローリングマットを敷いている場合には注意が必要です。
フローリングマットを車検時に取り外せるのならば問題ありませんが、床に貼り付けていて動かせなかったり、動かすことが不可能な家具が上に置かれている場合には、車検時の検査対象となります。
このような場合は、構造等変更申請を行っていても車検には通らないため、日本自動車車体工業(JABIA)が発行している難熱性の証明書を取得しなければなりません。
重さ
車検の検査対象には車の総重量も含まれるため、重量についても床張りをする際には気を付ける必要があります。
車検証に記載されている重量よりも50㎏以上超えている場合には、車検に通りません。
車検の際は基本的に降ろせる荷物はすべて降ろして行うため、床張りは動かせなくともその上に置いている家具は降ろして車検に通しましょう。
ただし、8ナンバーのキャンピングカーなど車両の種類によっては乗っている設備を降ろさずに車検に通すことが可能です。
座席の取り外し
床張りだけではなく、荷室を今よりも拡張したいと考える方もいるでしょう。
しかし、4ナンバーのバン以外は無条件で後部座席を取り外すことは認められていません。
車両ごとに乗車定員があらかじめ決められており、その人数分のシートとシートベルトがないと、車検には通らないのです。
たとえば、5ナンバーの乗用車は50%以上の乗車スペースが、運転席の後ろに必要だと決まっています。
構造等変更申請を行い、4ナンバーの貨物自動車にナンバーを変更してから、座席の取り外しをしましょう。
保険会社への申告
取り外しができない床張りなどの構造を変更した場合には、車検証の記載内容も変わるため、保険会社へ新興国する必要があります。
申告を忘れたり、怠ったりした場合には、改造が事故の原因の一つとなった場合に保険金が下りない可能性もあるため注意しましょう。
キャンピングカーの車検項目と車検依頼先
車検項目と車検の依頼先について、ここでは詳しく解説していきます。
車検を依頼する際の参考にしてみてください。
キャンピングカーの車検項目
キャンピングカーの車検項目は、「構造要件」「水道設備」「炊事設備」の3つです。
それぞれの車検項目について解説します。
構造要件
構造要件には、以下の規定があります。
・乗車定員人数の3分の1以上の寝床が備えられている(端数は切り上げて計算する)
・ベッドの上部は水平かつ平である
・大人が寝ても問題ないほどの耐久性がある作りになっている
・ベッドの長さは1人につき1.8m以上、幅は0.5m以上、ベッドの短辺から長辺にかけて0.8m以内の範囲なら0.3m以上の空間がある
子供の場合は、大人の規定とは異なります。
子供の場合には、ベッドの長さが1人につき長さ1.5m以上、幅は0.4m以上、ベッドの上部から上は0.4m以上の空間が必要です。
また、ベッドの短辺から長辺にかけて0.3m以上0,8m以内の空間があれば問題ありません。
水道設備
水道設備には、以下の規定を満たしている必要があります。
・10ℓ以上の水を貯めて置けるタンクと洗面台を設置する
・タンクから洗面台に水が流れるように設置されている
・使用した水を排水するためタンクが設置されている
・高さは車の床面から上に1,600mm以上の空間が必要
炊事設備
炊事設備には、以下の規定を満たしている必要があります。
・調理台として使用するスペースは0.3m以上×0.2m以上の平らな面である
・耐熱性や耐火性を有した作りになっている
・近くに窓もしくは換気扇を配置している
・床面から天井まで高さ1,600mm以上のスペースが必要
炊事設備に関しては特に厳しくチェックされるため、要件を理解した上で設置することが大切です。
キャンピングカーの車検依頼先
キャンピングカーは構造が特殊であるため、点検や修理に慣れていない業者が車検を担当すると、保安基準を満たすか判断が難しい可能性があります。
整備や検査自体に水があると、高額な費用を払っても車検に通らないリスクがあるため、専門店に依頼するのがおすすめです。
専門店であれば、車検に通る基準が分かり、安全に走行できるように整備してもらえるでしょう。
まとめ
ハイエースの床張りは、荷物の積み込みや掃除がしやすくなったり、寝床を作りやすくなったりするというメリットがあるため流通しています。
ただし、素材や重さ、取り外しの可否などに注意しなければ、車検が通らなくなってしまいます。
せっかく高額な費用を使ってDIYしたにもかかわらず、車検に通らないという事態にならないように、ハイエースの床張りを施す場合には保安基準を確認して行いましょう。