ハイエースは雪道と相性が悪い?その理由と対策方法を紹介!

ハイエースは頑丈で積載量が多く、商業用としても人気の高い車ですが、「雪道との相性が悪い」といわれることがあります。
なぜ、ハイエースは雪道で不安定になってしまうのでしょうか?

その理由は、FR(後輪駆動)の特性や車体の重量バランスが関係しています。
本記事では、ハイエースが雪道と相性が悪い理由と、それに対する具体的な対策方法を詳しく解説します。
ハイエースで雪道を安全にドライブしたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

ハイエースが雪道と相性が悪いといわれる理由

ハイエースは商用車として広く利用されており、その頑丈さや広い積載スペースが特徴ですが、一方で雪道との相性は悪いという声もよく耳にします。
特に冬場や雪の多い地域では、滑りやすさやコントロールの難しさが課題となることがあります。

では、なぜハイエースが雪道で不利だといわれるのでしょうか?
その理由には、車両の構造や駆動方式が大きく関係しています。

特に相性が悪いのは2WD

ハイエースの雪道走行において特に相性が悪いのは、2WD駆動モデルです。

その理由は以下の2つが関係しています。

前後のタイヤの荷重バランスが異なる
ハイエース2WDは後輪駆動(FR)

それぞれ詳しく解説します。

前後のタイヤの荷重バランスが異なる

1つ目が、前後のタイヤの荷重バランスが異なるからです。

ハイエースは、通常の乗用車と同様に車両の前側にエンジンが備えられています。
しかし、通常の乗用車と異なるところが、車の形状とエンジンの位置です。

ハイエースは、長い箱型の形状をしており、運転席の下にエンジンがあります。
また、その排気量の高さからエンジンの重量も通常の乗用車より重くなっており、前後の重量の違いは300kgほどあります。

この形状とエンジンの位置、そして重量の重さからハイエースは前側の方が重くなった状態で走行しているのです。
極端かもしれませんが、シーソーの片方だけに人が乗っている状態で走行しているようなイメージです。

この状態で雪道やぬかるんだ道にハマってしまうと、沈むように傾いてしまいます。
そうなると、後ろタイヤが浮いてしまい空転が起こり動けなくなるというわけです。

ハイエース2WDは後輪駆動(FR)

2つ目の理由が、後輪駆動(FR)となっているからです。

ハイエースは、通常の乗用車と異なり後ろのタイヤに力を加えて走行しています。
これは、重い荷物を積んだ際に、タイヤが空転しないように設計されているからです。

しかし、これが雪道やぬかるんだ道との相性の悪さに繋がっています。

通常の乗用車であれば、前輪駆動(FF)であることに加え、エンジンの重さが合わさることで、雪道に対してしっかりグリップ力を発揮してくれます。

しかし、ハイエースは後輪駆動であることに加えて、車の前側の方が重いことから、後ろのタイヤに力を加えても、グリップ力を発揮しにくい設計なのです。

こういった2つの理由から、「ハイエースは雪道との相性が悪い」といわれる要因になったようです。

雪道を走るなら4WDの方が走りやすい

では、ハイエース4WDと雪道の相性はどうなのでしょうか。

実は雪道を走るなら、4WDの方が走りやすいといわれています。
理由は、前後のタイヤの荷重とパワーバランスが取れているからです。

ハイエースの4WDは、その名の通り4つのタイヤすべてに力を加えて走行します。

後輪だけではなく前輪にもパワーが加えられるので、雪道やぬかるんだ道にハマっても、前後どちらかのタイヤを使って進んでくれるのです。

また、2WDよりもパーツ数が多く、車両前後の荷重バランスも比較的取れています。
そのため、雪道でもハマりにくい設計となっています。

ただし、4WDだからと言って雪道にハマらないわけではありません。

雪の高さがある道路では、すべてのタイヤがハマってしまい空転してしまうこともあります。
そうなると、車体を押し出す力がなくなってしまうので、スタックから抜け出せなくなります。

4WDにもデメリットがある

4WDのハイエースは、雪道やぬかるんだ道でも走行しやすい特徴を持っています。
しかし、4WDにもデメリットがあります。

それは、ディーゼルエンジンしかないことです。

ディーゼルエンジンで使用される軽油は、寒さに弱い特性を持っており、凍結する可能性がある燃焼です。
そのため、軽油を燃料とするハイエースの4WDは、暖かい地域から寒い地域に向かう際に燃料の凍結に注意する必要があります。

なお、対策としては寒冷地に向かう場合は、現地で軽油を入れ直すことです。

軽油は販売されている地域によって、凍結しやすいものと、凍結しにくいものに分けられています。
一般的に暖かい地域では凍結しやすい軽油、寒い地域では凍結しにくい軽油を使用しています。
そのため、現地で軽油を入れ直すのが、最適な安全策となります。

ハイエースで安心して雪道を走りたいなら寒冷地仕様がおすすめ

厳しい寒冷地や雪の多い地域でハイエースを使う場合、標準仕様では不安に感じることがあるかもしれません。

そんな時に頼りになるのが「寒冷地仕様」のハイエースです。
寒冷地仕様には、寒さや雪に対応するためのさまざまな特別装備が搭載されており、雪道での走行性能を格段に良くしてくれます。

寒冷地仕様のハイエースとは

寒冷地仕様のハイエースとは、新車を購入したときに選択できるトヨタ純正のオプションです。
寒冷地でも走りやすくなるようなオプションが備えられているのが特徴となっています。

具体的には、次の3つの装備が挙げられます。

発電機やセルモーターがパワーアップ

寒冷地仕様のハイエースは、標準仕様に比べ発電機が30A高くなっています。
これは、寒冷地でヒーターの使用頻度が増え、電力消費量が上がることを踏まえてパワーアップされているのです。

また、セルモーターも標準仕様に比べてパワーアップしています。
セルモーターとは、エンジンを動かすための電気モーターのことで、寒くなりすぎると始動しにくくなる特徴があります。

そこで、セルモーターの仕様を強化させ、セルモーターの温度を上げることで、エンジンを始動しやすくさせています。

バッテリーの容量や数がアップ

気温が低くなると、バッテリーの性能は低くなります。
これは充電効率の低下やエンジン始動に必要なエネルギーの増加により、溜めている電気を放電しているからです。

それを防ぐために、標準仕様では48Ahのところを、寒冷仕様では55Ahにパワーアップしています。

また、ディーゼル車では、バッテリーが助手席の下に1つだけでしたが、運転席の下にも取り付けられています。

フューエルヒーター搭載

フューエルとは燃料のことです。
つまり、フューエルヒーターとは、燃料を暖めてくれるヒーターのことをいいます。

先ほどお伝えした通り、4WD設定のハイエースの燃料は軽油が使用されており、寒冷地で凍結しやすい特徴を持っています。

しかし、寒冷地仕様ならエンジンを始動する前に燃料を暖めてくれるので、燃料が凍結する心配がなくなります。
ハイエース4WDをお持ちの方で、軽油を凍結させたくない方におすすめです。

ハイエースで雪道を走るときに有効なパーツやアイテム

ここからは、ハイエースで雪道を走るときに有効なパーツやアイテムを紹介していきます。

スタッドレスタイヤ

雪道といえば、まず思い浮かぶのがスタッドレスタイヤではないでしょうか。

スタッドレスタイヤは、普通のタイヤと比べてゴムが柔らかいという特徴があります。
通常のタイヤは寒さで硬くなりがやすいですが、スタッドレスタイヤは寒くなっても柔らかいままなので、地面にしっかりと密着し、滑りにくくなります。

さらに、スタッドレスタイヤは溝が深く設計されています。
これは、水を素早く排出するためです。

普通のタイヤだと水が排出されにくくなり、水の上を滑る「ハイドロプレーニング現象」が起こりやすくなりますが、スタッドレスタイヤなら水はけが良いため、滑りにくくなっているのです。

タイヤチェーン

タイヤチェーンは、車のタイヤに取り付けるスリップを防止するアイテムです。

主に金属製や樹脂製があり、取り付けることでタイヤのグリップ力が上がり、雪道のスリップを防止できます。

また、他の車のスタック(雪道にハマる)による足止め回避や、チェーン規制時でも運転できるところも大きなメリットです。

脱出用ラダーや砂袋

脱出用ラダーや砂袋は、雪道でスタックから脱出するためのサポートアイテムです。

脱出用ラダーや砂袋をタイヤと雪の接地面に押入れ、車をゆっくり発進させると脱出できます。

スノーブラシ

スノーブラシは、車に積もった雪を取り除くためのアイテムです。

積もるような雪が降る地域では、走行スピードがゆっくりになることで、車両に雪が積もりやすくなります。
雪を載せたまま走ると、ブレーキをかけたときに雪がフロントガラスに落ちて視界が遮られ、とても危険です。

その際、スノーブラシがあると事前に雪を落とせるので、危険回避できます。

ブースターケーブル

ブースターケーブルとは、バッテリーが上がったときに、救援車から電気を分けてもらう際に使用するアイテムです。

寒冷地などの寒い地域では、バッテリーの充電効率が下がりやすく、加えてエアコンなどの電気機の使用頻度も増えがちです。
そのため、バッテリー上がりが起こりやすく、動けなくなる可能性も非常に高くなります。

その際ブースターケーブルがあれば、近くの車(救援車)に助けてもらえます。

雪用ワイパー

雪道で通常のワイパーを使用すると、その機能を発揮してくれません。
しかし、雪用のワイパーであれば、凍結しにくく、加えて耐久性も高いので、ガラス面の雪もきれいに拭き取ってくれます。

寒冷地にお住まいの方や、寒い地域に行く予定のある方は、スタッドレスと同様に事前に交換しておくと安心できます。

解氷スプレー

解氷スプレーとは、フロントガラスの凍結をすばやく溶かしてくれるアイテムです。

フロントガラスが凍結している際に、エンジンの始動とデフロスターを使用して解凍すると時間がかかります。
しかし、解氷スプレーなら吹き付けるだけで溶かしてくれるので、すぐに出発できます。

ハイエースで雪道を走るときにできる対策

ハイエースのような大型車で雪道を走行する際には、通常の運転よりも慎重な対応が求められます。
特に、後輪駆動のハイエースは雪道でのグリップ力が低下しやすいため、事前に対策しておくことが重要です。
ここでは、雪道で安全に走行するための具体的な対策をいくつかご紹介します。

荷室に重量のある荷物を載せておく

冒頭で2WD設定のハイエースは、前後の荷重バランスが悪いと紹介しましたが、それなら荷室に重量のある荷物も載せておくという手があります。

前後の比重差は約300kgあるので、それだけの荷物を載せるのは不可能です。
しかし、冬場に使用しないサマータイヤや、雪道にハマってしまったときにも使用できる砂袋などを積んでおけば、それだけでも対策になります。

タイヤの空気圧を下げておく

空気圧の高い状態のタイヤで雪道を走行すると、地面との接地面が少ないので、スリップが発生しやすいです。
そこで、わざと空気圧を下げてタイヤと地面との接地面を少なくすることで、スリップが起こりにくくできます。

タイヤの空気圧を調整するときの注意点としては、タイヤが熱い状態のときに行わないことです。
理由は、タイヤが熱いと、タイヤ内の圧力伸張により空気圧が高い状態なので、適正な空気圧にできないからです。

タイヤの空気圧を調整するときは、運転する前に行うと良いでしょう。

急ブレーキ急発進をしない

雪道での走行は、運転操作にも注意が必要です。

ポイントは急ブレーキ、急発進のように無理な運転をしないことです。
これらは、スリップが起こりやすい原因のひとつです。

アクセルやブレーキを踏むときは、いつも以上に慎重に行い、「ゆっくり」を意識するようにしましょう。

スノーモード(2速)を活用する

スノーモードとは、急発進を予防するために備えられた装備です。

通常、車のシフトレバーをドライブモードにしてアクセルを踏むと、1速から走ります。
1速は力が強い分、回転は速いがスピードは出ませんが、このモードで凍結した路面を走ってしまうと、力がかかりすぎてスリップが起こりやすくなります。

しかし、スノモード(2速)は、アクセルを踏むと2速から走り出すので、力がかかりすぎません。
その結果、より滑らかに発進してくれスリップを防ぎやすくなります。

車間距離は通常より広めにとっておく

雪道での走行は滑りやすいことから、ブレーキが効きにくく、いつも通りに停止してくれません。

そのため、通常よりスピードを落とすことはもちろん、車間距離も広めにとっておくことをおすすめします。

ハイエースで雪道を走る前にチェックしておきたいポイント

雪道での安全なドライブには、事前の準備が欠かせません。
ここでは、雪道を走る前に必ず確認しておきたいチェックポイントを紹介します。

スタッドレスタイヤは必須

雪道を走る際のスタッドレスタイヤは必須です。
特に日本は広範囲で雪が降る国です。

また、1日で溶けるようなところでも、気温が低いと凍結する可能性も非常に高いです。
そのため、冬季はスタッドレスタイヤを必ず装備しましょう。

バッテリーのチェック

バッテリーは、気温が下がってくると充電効率も下がり、バッテリー上がりが起こりやすくなります。

運転前には、液体の量や比重、電圧を確認し、定期的な交換も怠らないようにしましょう。

クーラント液(冷却水)をチェック

クーラント液は、エンジンの過熱を防ぐ役割を持っています。

クーラント液は、寒冷地で濃度が低すぎると凍結してしまう特徴があります。
そのため、運転前に濃度を確認しましょう。

ウォッシャー液

ウォッシャー液とは、フロントガラスをきれいにするためのものです。
しかし、寒冷地のような0度を下回る地域では、凍結する恐れがあります。

フロントガラス雪が付くと汚れやすいこともあるため、事前に補充しておきましょう。

なお、ウォッシャー液には寒冷地でも凍結しにくいものもありますので、不安な方はそちらを入れておくと安心できます。

燃料をチェック

ハイエースで雪道を走行する前に、燃料は満タンにしておくことをおすすめします。

雪道では渋滞や立ち往生する可能性が非常に高いです。
燃料は車内で暖を取るためにも必要なので、必ず入れておくようにしましょう。

道路情報や気象情報をチェック

降雪時期は、渋滞や立ち往生がよく起こります。
そのため、事前に道路情報や気象情報をチェックしておきましょう。

大雪が予想されるとわかったら、運転を取り止めたり、降雪地帯を避けたりすることも選択肢に入れておくと良いでしょう。

まとめ

本記事では、ハイエースが雪道との相性が悪いといわれる理由と、その対策方法を紹介しました。

雪道での走行を安全にするためには、タイヤの選択や走行時の工夫が非常に重要です。
また、寒冷地仕様や事前のメンテナンスも、冬場のトラブルを防ぐために役立ちます。

しっかりと準備を整えて、ハイエースでも安心して雪道を走行できるようにしましょう。

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